はじめに
防災基本計画は災害対策基本法34条に基づいて、中央防災会議が作成する我が国の防災に関する基本的な計画になります。また「災害及び災害の防止に関する科学的研究の成果並びに発生した災害の状況及びこれに対して行なわれた災害応急対策の効果を勘案して毎年防災基本計画に検討を加えて必要があると認めるとき」には修正を加えるとしています。今後の状況を見ていく中で防災基本計画で検討を加えるべき事項が起こった場合には内容を追加・変更しますよということです。防災基本計画に基づいて地方公共団体は地域防災計画を指定行政機関や指定公共機関は防災業務計画を作成していくこととなっています。
内容の修正
平成30年度に防災基本計画の修正を行っています。修正内容は災害救助法の関係法令の改正による制度の変更と平成29年の九州北部豪雨・平成30年1・2月の日本海側の大雪などの災害対応への課題について明らかになった課題を追記しています。具体的には災害救助法の改正を踏まえて救助実施を市による救助と都道府県による連絡調整の実施などについて記述しています。具体的には九州北部豪雨災害を踏まえた中小河川における透過型砂防堰堤や森林における流木捕捉式治山ダムの設置をすることなどの防災対策の強化をより強く意識した内容となっています。
災害救助市制度の設立
災害救助法は一定規模の災害に関して避難所の設置や応急仮設住宅の供与などの災害救助法に規定する救助を市町村長に代わって都道府県知事が行うものとしています。その救助に要した費用の一部を国が負担していくことを規定しています。
災害救助の実施体制については熊本地震における被害を教訓として、全国においての対応力の向上方策を検討するために設置した「熊本地震を踏まえた応急対策・生活支援策検討ワーキンググループ」の報告で「より迅速にかつ的確な救助の実施及び災害救助の事務を円滑に行うという観点から、現行法による救助の実施体制や広域調整のあり方についても検討すべき」という指摘を行っています。行政同士及び行政から民間への適切な指示・さらにより的確で迅速な救助支援を行えるようにしていこうという内容に変更があったということです。
内閣府の施策
内閣府では今後の大規模災害に備えて、救助事務の円滑な実施という観点から救助の実施体制と広域調整の在り方について検討を重ねていきます。多くの議論を重ねた結果、「大規模・広域的災害に備えて迅速かつ円滑な事務実施のため、現行の委任方式に加えて、包括道府県と連携体制が取れる指定都市を新しい救助主体とする」とともに、「都道府県からの様々な懸念に対応するために都道府県の広域調整権が適切に機能するように法律で明記する」こととしています。今後「指定基準を具体化する中で適切な措置を講じることが適切である」と明記しています。
更に検討を進めていくために平成30年2月からは宮城県・愛知県及び兵庫県の関係者から構成される「大規模・広域災害時の災害救助事務の連携強化に関する協議」を開催しています。そこで都道府県単位の広域の調整を含めた物資の円滑な調達や配分の仕組み・さらに物資の供給を含めた関係業界との連携方式についての連携方策について整理しています。
いつ起こるか分からない災害に備えていく必要があるところから、内閣総理大臣の指定する救助実施市の長による救助に関する制度を創設していくことにしました。災害救助の円滑かつ迅速な実施を図ることを目的にして制定されました。
参考資料
防災白書:http://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/pdf/R1_dai1bu1-2.pdf