はじめに
被害想定は過去の地震を基に被害を算出しています。あくまで全体的なところでの被害の状況を示したものです。局所的にはこの想定以上の事象が起こることもあります。これは地震だけでなく台風・水害・猛暑・豪雪などでも同じようなことがいえます。
大規模な地震が起こることで大規模な地盤の変異が生じたりすることもあります。また被害想定をはるかに超える構造物の損傷などが起こることもあります。
また建設・土木・鉄道・化学工場・港湾・電力会社などの危険作業を伴う事業者の方は震災対応により注意を払う必要があります。ここではこれらの業者の対応すべきことについて書いていきます。
海岸保全施設
東京湾沿岸は津波も含めた護岸対策は比較的できています。ただ震度6強以上の地震が起きると地震の揺れ・液状化・津波などでこれらの施設が損壊などの大きな被害を受ける可能性があります。
東京湾区域では大きな津波は想定されていません。ただこの地域は海抜ゼロメートル地帯も広くあります。これらの地域は浸水などの被害を受ける可能性が高くなります。また震災後は地盤沈下などが起きる可能性もありますので三陸地域などでもあった通常の高潮などによる浸水被害を受ける可能性が高まります。このため海岸保全施設の耐震化・老朽化・液状化対策などを行っていく必要があります。
また満潮時や異常潮位などで新水域が広がることもありますので注意が必要です。特にゼロメートル地帯の駅や商業施設などは市民生活にも影響を受けます。情報共有をしておくことそして被害が起きた時の迅速な対応が必要になります。
交通施設
鉄道や道路などの被災は架線処理程度に留まれば比較的早期の復旧も見込めます。ただ高層部の落下・盛り土部分の崩れや沈下さらに大きな地盤の変異などが起こると復旧に長期間を要することも予想されます。特に高速道路などは山沿いの土地を崩して作ることも多くこれらの被害を受けやすくなりますので復旧までに時間がかかることが多いです。そうなることで隣接する一般道の交通渋滞などがひどくなる可能性もありますのでより注意が必要になります。
火力発電
大地震によって東京湾近郊の大規模な火力発電所に大きな被害が発生をすることで施設の復旧や部品の交換などで相当の日数を要します。また数週間にわたって節電・計画停電・電力使用制限などの電力の抑制が必要になることもあります。電力の使用に影響の出ることで夏季や冬季などの電力の使用に影響が出ることも考えられます。
化学工場
湾岸地域にある石油化学コンビナート区域に大地震が起こることで爆発などからの大規模火災が起こる可能性も想定されています。近隣住民の速やかな避難や交通利用の制限などを行う必要があります。また火災の拡大や湾内への油の流入などを防ぐ必要があります。事業所の防災体制などの強化を行う必要があります。石油化学コンビナートなどの特殊災害に即応する体制に必要な資材や機材を配備する必要があります。
相模トラフ地震
首都地域よりも若干外れた相模湾地域に大きな地震が起こることでも都市部に大きな被害の出る可能性が高まっています。ただ相模トラフ地震は首都直下地震や南海トラフ地震よりも発生する確率がだいぶ低くなっています。ただ起きる可能性も十分に考えられるので技術開発や震災対応などを行っておく必要もあります。
津波対策
東京湾付近に高い津波は予想されていません。ただ相模湾・房総沖・駿河湾沿岸などでは最大で10メートル程度の高い津波が発生することも考えられます。低い地域が広いことからも避難の難しい地域も少なくありません。このため重要な施設の高台の移転や海岸保全施設の整備さらに長期的な視野に立った街づくりが必要になります。地域の同意を得て対策を実行していくことが必要になります。
また避難に関しても東日本大震災を踏まえて避難場所の確認や避難訓練などを定期的に行った上での危機管理が重要になります。現在のできる最大限のことをしておく必要があります。
建設対策
マグニチュード7クラスの地震は日本のどこでも起こる可能性はあります。このため構造物の強化を行っておく必要があります。これをしておくことで大規模な地震にも対応をすることができます。火災対策も同時に行っておくことで防災に強い街づくりをしておく必要があります。
首都直下地震や相模トラフ地震が起こると高層マンションは長時間にわたって大きな揺れが継続します。この長周期の地震動対策にも力を入れていく必要があります。
首都高と東海道新幹線
首都直下地震・相模トラフ地震・南海トラフ地震などが起こることで東京都・神奈川県・静岡県・愛知県などでは新幹線と東名高速道路が交差もしくはとても近い地域を走ります。そこに国道1号線も含めて通行ができなくなることで東西の分断が起こることも予想されます。北陸新幹線・中央自動車道・上信越自動車道を含めた内陸さらに日本海側を迂回していくなどの手段も必要になります。さらにリニアなどの高速鉄道網の整備も行っていく必要があります。
房総沖地震
房総沖は三陸・常磐地域の南にあって北の地域で起きな地震が起こると誘発地震などが起きる可能性もあります。そこから旭市で起きた東日本大震災の時と同じように規模の津波が起こることも考えられます。房総半島沖を震源とした大きな地震が発生することも予想されていますのでこれらの地域でも地震や津波対策をしっかりと行っていく必要があります。
参考資料
首都直下地震の被害想定と対策について:file:///C:/Users/user/Downloads/Document-8%20(2).pdf