東日本大震災の経済被害

経済被害

震災における経済被害は直接被害・間接被害・二次被害に分けられます。

直接被害は災害によって住宅や工場などの建物や生産設備に及んだ物理的損失のことを言います。

間接被害は住宅や工場などの建物や生産設備や倉庫などが被災したために生産がストップした際の逸失利益や原材料や部品の調達が滞ったために生産ができなくなってその結果生じた利益の減少などによる被害のことをいいます。

二次被害は災害の影響によって地域社会や経済社会が変化したために企業が倒産や廃業に追い込まれてあるいは他の地域に移転をしたことで事業の再建ができずに地域や産業が衰退することによって生じる被害を指していきます。

直接被害

直接被害では住宅や店舗・工場・倉庫・オフィス・機械などの建築物関係が全体の6割から7割超を占めています。地震の強い揺れによって建物が倒壊あるいは津波による流出やその後の火災による消失などの多くの方が住家・家財・働き場所の工場や生産施設や店舗を失ったことが伺われます。

警察庁の調査によれば建物の被害は13万戸・半壊26.6万戸・浸水被害が床上や床下の合計は3万6千戸・一部破壊73万戸・非住家被害5.6万戸などの膨大な数字が隠されています。

また個人用や業務用そして警察・消防・市町村役場などの公用車両さらには地震発生直後に用意された自衛隊の災害派遣用車両も一部津波によって流されるなどの大きな被害が出てきます。さらに農林水産関係では被害を受けた田畑を現状に回復する費用や農機具の損害は直接経済被害となります。また漁業関係では漁港施設の被災や漁船や魚網などの破損やこれらの財物に及んだ被害も直接被害となります。

水道・ガス・電気などのライフラインの関連施設も多くの地域で被災をして機能を失って大きな被害が出たほかに道路損壊4200・橋梁被害116・崖山崩れ208・堤防決壊45・鉄軌道29などの大きな被害を受けて被災地との交通もいたるところで遮断されてきました。これらの被害による修繕費用も直接経済被害に含まれます。

間接被害

間接被害は災害が発生して建物や自動車などが被災しなければ発生しなかった費用のことを言います。住む家を失った場合は失った家屋は直接被害・賃貸住宅を借りて発生した家賃などの住家が被災しなければ発生しなかった費用が間接被害です。自動車を失った場合も失った自動車は直接被害、仕事や日々の生活のためにレンタカーを借りればその費用は自動車を失わなければかかる費用ではなかったので間接被害となります。

また企業の工場・生産設備・倉庫・オフィスなどが損壊すれば生産活動や販売活動規模を縮小もしくは停止になってしまいますので復旧までの間に本来であれば生産してそこから得られていたはずの利益が失われます。仮設の工場やオフィスを用意して事業を行う場合に事業は限定的なものにならざるを得ずに売上や利益も減少します。加えて仮設施設の貸借料や生産を行うための様々な臨時費用も発生します。これらの売上や利益の減少・臨時費用も工場やオフィスなどが被災しなければ発生しなかった損失や費用であって間接被害となっています。

農業の場合も傷んだ田畑を修復するまでの数年間は農作物の収穫ができなくなりますので収入はなくなります。また漁業においても漁船や漁具が失われれば漁に出られなくなって漁港が被災すれば水揚げできません。さらに漁業に流れ込んだ大量のがれきによって漁や魚介類の養殖ができなくなった場所があります。これらの被害は災害がなければ発生しなかった利益の喪失なので間接被害となります。

二次被害

被災した産業や企業が資金や従業員の確保ができずに復旧できないあるいは復旧に時間を要している間に他の地域や外国の企業に市場を失われることがあります。また漁港が被災して水揚げができなくなって漁港の傍らにあった水産加工業が衰退して連鎖で製品を消費市場に運んでいた運送業が衰退するように取引相手や市場が被災したためにその地で事業が成立しなくなるなどの産業自体が衰退してしまうことがあります。

こうした被害を二次被害となっています。なお二次被害から三次被害さらに四次被害などを分けて影響を受けることがあります。

東日本大震災では農業や漁業さらに水産加工業へのダメージが大きな問題となりました。この地域の農業就業人口の平均年齢は66歳で年々高齢化が進んでいます。漁業も高齢化が進んでいて65歳以上の就業者は全体の3割程度を占めていて急速に高齢化が進んでいます。このまま手をこまねいてしまうと農業や漁業の担い手が少なくなっていきます。そして継ぎ手がいなくなって産業自体が衰退化してしまいます。そのような事態は防ぎたいものです。

また産業の衰退や就業者数の減少は地域の衣類から家電製品そして店での飲食や住宅施設などあらゆる消費の減少を招いて負の連鎖を作っていきます。絶対に阻止すべき課題といえます。