地震想定の見直し

はじめに

濃尾地震・宮城県沖地震・阪神大震災・東日本大震災・熊本地震・北海道地震など近年は大きな地震が頻発しています。また大地震の後には大きな地震がないという考えはないというのも早計です。1940年代には大きな地震が4年連続で起きています。どうも環太平洋造山帯が活動期に入ってきたという研究報告もあります。それだけでなく台風や洪水などの災害にも注意をする必要があります。

最近は大地震も頻発していることもあって各地域ごとに地震への想定を見直していく必要が出てきています。

首都直下地震

東京地区では東日本大震災を通して発生の予測されている主要の地震に関する従来の被害想定を見直す方向で調整しています。その中でも東京湾北部地震いわば首都直下地震があります。この首都直下地震では予想者数が9700名、負傷者147600名、建物の被害30万4300棟、避難者340万人などを見込んでいます。これは東京都内だけであって神奈川・埼玉・千葉・茨城南部などの首都圏地域を含んでいません。実際にはより多くの被害が出てくるのではないかと予想されます。

また強い揺れに襲われる地域が従来の想定よりも広範囲に及ぶ可能性が高まってきました。経済被害については中央防災会議が東日本大震災の前に行った想定を大きく超えることが予想されます。

南海トラフ地震

南海トラフ地震は東海地震と東南海地震さらに南海地震などが連動して発生するであろう西日本の太平洋側で起こる可能性の高い大地震のことをいいます。この南海トラフ地震には東日本大震災のデータはあてはまらないという専門家の方もいます。

この南海トラフ地震は東日本大震災の震源域500キロを超える750キロ程度が予想されていることさらに東日本大震災の震源域10万平方キロを超える14万平方キロなどさらに大きな地震になるかもしれないと危惧されています。マグニチュードも最大で9.1程度と東日本大震災と同規模もしくはそれを超えてしまう可能性もあるということです。

南海トラフ地震の震源域は東日本大震災よりも内陸側いわゆる陸地側になる公算が高くなっています。よって津波の来る時間が早くなるのではないかと危惧されています。人口の多い地域に津波が来てしまうと最大で30万人以上の方が命を落としてしまうかもしれないという試算も出ています。

津波の高さも11の都県で90前後の市町村で高さが10メートル以上になるのではないかとも言われています。特に高知県や静岡県さらに三重県では25メートルから30メートル級の津波が来てもおかしくないとさえも言われています。東海以西はリアス式海岸ではなく平坦な海岸線が多いですので津波がより内陸地まで入り込んでしまうという不安も残ります。浸水域も東日本大震災の2倍近くなるかもしれないというデータも出ています。

また震度も20府県以上で震度6弱以上になるのではないかと予想されます。さらに静岡市・和歌山市・徳島市・宮崎市などでも震度7規模の地震が来るかもしれないと予想されています。さらに地震に伴う火災も相当の範囲になってしまうのではないかとも言われています。

近畿直下地震

近畿直下地震についても地震調査研究推進本部の長期的な評価を見ていくと想定されている上町断層の地震発生確率は2%程度となっています。ただ上町断層の平均活動間隔はだいたい8000年ほど。上町断層での大きな地震は9000年ほど来ていません。ということでいつこの地域を中心とした大地震が起こっても不思議ない状況といえます。またこの地震が起こってしまうことでさらに大規模な災害の予測されている東海地震を呼びこんでしまうリスクも考えられます。

この地震予測というのはかなり悪い方の数値を見込んで予想をしています。ここまでにはならなくてもかなり厳しい規模の災害になってしまうことは不可避といえそうです。

火災の危険度も高い

地震で大規模な火災の起こる可能性の高い住宅密集地が全国14都府県で29市区町に及ぶのではないかと言われています。国は2020年度までにこの住宅密集を解消したいという考えでいるようですが実際にはまだ計画の2割ほどしか進んでいません。そこには古い住宅や空き家家屋などもありますのでその分の解体費用なども助成していくという方向で考えているようです。

どのような地域で密集が起きているのかを考えてみました。埼玉県川口市54ヘクタール、千葉県浦安市で8ヘクタール、東京都大田区24ヘクタール・品川区90ヘクタール・荒川区50ヘクタール・台東区18ヘクタール・墨田区249ヘクタール・北区51ヘクタール、神奈川県川崎市30ヘクタール・横浜市27ヘクタール、愛知県名古屋市87ヘクタール・安城市16ヘクタール、滋賀県大津市10ヘクタール、京都府京都市357ヘクタール、大阪府大阪市1065ヘクタール・豊中市246ヘクタール・寝屋川市216ヘクタール・守口市213ヘクタール・門真市137ヘクタール・堺市54ヘクタール・東大阪市49ヘクタール・神戸市199ヘクタール、徳島県三波町21ヘクタール・鳴門市3ヘクタール・牟岐町2ヘクタール、香川県丸亀市3ヘクタール、高知県高知市22ヘクタール、長崎県長崎市120ヘクタール、沖縄県嘉手納町2ヘクタールなどとなっています。こうしてみると東日本よりも大阪などの西日本地域で密集地域が解消されていないのかなという感じがします。世田谷区など都内では比較的住宅密集が解消されているようです。私の住む江戸川区地区は人口はかなり多いも住宅密集という感覚はあまりありません。区画は比較的しっかりとしている感じがします。

防災を完璧にするのは不可能

たしかに人口の構築物による防災をすべて行うことには無理があります。ただ災害の予想されている地域では新たな津波の想定を踏まえて予算の措置を講じて防災の拡充に取り掛かっています。また今後は津波の規模のデータの精度を高めていくとともに揺れや地震そして火災などに対する対応なども含めて被害の軽減ができるような具体的な措置を講じていく必要が出てきています。 東日本大震災を基に考えていくことで南海トラフ地震や首都直下地震なども人的・物的・経済的な被害を見直されていく今後はさらに上方修正していくことが予想されています。備えを少しでも多くしていくことは大事なことといえます。

地震保険には簡単に入れない

地震保険には簡単に入ることができません。家計地震保険は再保険制度というものがあって国が引き受け元になってくれるのですが、法人の地震保険にはそれが適用されません。

ということもあって地震保険は大企業などの一部の企業しか入ることができません。ほとんどの企業は入ることができないんです。

また地震保険は営業などができなくなって逸失利益が発生してしまう場合などの間接損害には適用されません。さらに工場などの倒壊などの直接費用などに対しても契約時の保険金額の5%から10%程度しか保険金が受け取ることができないことが多いです。たとえば契約時に10億円補償の地震保険を契約しても実際は5000万円から1億円程度しか手元に戻ってこない可能性が高いということです。これでは地震保険に加入するメリットがあまりありません。

  • 地震保険に加入したいけどできなかった
  • 同じ地域に会社があるので地震で一発で企業が飛んでしまうかもしれない
  • 企業自体は儲かっているけど地震が一番の不安

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