家全体の被害
東日本大震災では被害を受けた家屋はおおよそ122万件とかなり膨大な範囲に地震や津波の影響が出ました。その内訳は前回が13万件ほど・半壊26.5万件ほど・全焼280件ほど・床上浸水2万件ほど・床下浸水1.5万件ほど・一部損壊73万件ほど・非住家被害5.6万件ほどとなっています。そのうち被害が比較的軽かった一部損壊と床下浸水を除く47.4万戸が一時的にもしくは長期間にわたって使用できない状態になりました。うち13万戸は建て替えが必要な状況になってしまいました。また多くの方が仮設住宅住まいを余儀なくされていて震災の影響が長期化しています。
日本損害保険協会のデータによると地震保険の震災に対する支払額は77万件にわたって総額1兆2241億円となっています。支払条件は全損の場合は地震保険金額の100%・半損の場合は50%・一部損壊の場合はだいたい5%ほどとなっています。それらの額から推定すると東日本大震災の住家に対する損害額の総計はおおよそ10兆円を超えることになります。
また倒壊した住宅のローンとは別に新たな家を建てるためのローンを組まなければならないこともあるため二重ローンの支払いの負担も大きな問題となっています。また仮設住宅にいることもできませんのでいつかは賃貸生活をしながら倒壊してしまった家のローンを払い続ける必要があります。
被害総額は住家だけでも10兆円規模になっていますが、これに店舗・事務所・工場・機械設備などを加えると容易に100兆円以上の損害になっているものと推測されます。未曽有の損害規模といえます。
企業の損害
ここでは東日本大震災での上場企業3500社を中心に調査しました。その中でおよそ4割の1356社に影響が出ました。その損害の総額はおよそ4兆円超となっています。内訳は災害の損失による直接の経済被害額がおよそ1兆6400億円ほど・また工場の休業などによる手当などの間接損害が1兆5400億円ほど・これとは別に東京電力の損害賠償が9000億円ほどとなっています。
それを業界別にみていくとサービス業が2兆8000億円ほど・製造業が8900億円ほど・金融保険業が1000億円ほど・運輸業が940億円ほど・卸売業が580億円ほど・その他1400億円ほどとなっています。この中で東京電力の賠償額はサービス業の中に含まれています。
さらにそこを企業別に分析していきます。東京電力が2兆1000億円ほど・東北電力が1700億円ほど・JXホールディングスが1400億円ほど・住友金属工業が740億円ほど・日本製紙グループが711億円ほど・JR東日本が709億円ほど・ルネサスエレクトロニクスは622億円ほど・日産自動車は607億円ほど・七十七銀行が506億円・JFEホールディングスが413億円ほどとなっています。東京電力の場合は賠償額を引いても1億2000億円ほどと断トツの被害額になっています。
ただこれは上場企業だけに限った損害額であって、その他の非上場企業・中小企業・個人零細企業などを含むとさらなる大きな損害額となってきます。震災からおよそ1年後の2012年4月時点での震災関連での倒産は直接の影響を受けて施設・設備・機械などに被害を受けて経営破綻を受けた、以前から経営ふしんだった会社が震災を機に倒産したところも含めておよそ合計700社に上りました。また事業手続きや破綻企業を併せると合計が730社ほどになります。その合計の負債金額は1兆1000億円ほどとなっています。
また倒産までには至らないまでも事業規模の縮小などの影響を受けた企業も多くあります。また廃止している会社や休業中の会社も多くあります。それらの企業にまで対象範囲を広げていくと会社数・損害額まで含めていくとさらに多くの被害になってしまいます。
自宅だけでなく企業にも2重ローンが出てきてしまうことがあります。工場などが津波などで倒壊してしまって事業ができなくなった。その事業のローンや負債が残っている上にさらに別の工場をローンで借りなければならないとなると2重・3重のローンになってしまいます。それだけでなく設備投資なども資金調達しなければならずその部分でのローンが多くなります。このような面で事業での再建が難しくなっているといえます。
もし建物が残っても事業継続が困難となったので会社を売却したいと思っても不動産の価値が下がっているので売却も難しいものがあります。金融資産も価値が減少してしまいます。 被災をしてしまって金銭的にも肉体的にも精神的にも厳しいものがあります。ゼロからの再出発でも厳しいものがある上にマイナスからの出発となると事態が容易に厳しくなることは推測できます。