はじめに
首都直下地震の対策は平成17年の首都直下地震大綱などで様々な対策が講じられています。そこで被害の様相や今後の課題を明確にしていきます。また地震対策に対して今後も継続的に取り組んでいく方向で考えています。また新たに想定された被害の様相から明らかになった課題も出てきていますのでこれについても検討を重ねていきたいと考えています。
首都機能の確保
首都直下地震が発生した時に東京圏は政治・経済・行政の面で様々な影響が出ることが考えられます。政府は有事の時の対応手段としての必要な執行体制や環境を定めていく必要があります。また各省庁は政府の指示を第一にしていきながらも各々で業務継続計画を策定していくことで修正・変更をしていく必要も出てきます。さらに政府としては東京地区の防災力の強化を第一に考えていく必要があります。そこには業務を継続できないような最悪の想定も盛り込む費用がありそうです。
まず計画を行うために必要な人員を確保することが重要になります。徒歩で官庁まで来ることのできるところに住むことや組織や役割を超えた枠での支援も必要になります。首都直下地震の発生時に各省庁が取り組むべき課題に優先的に注力ができるようにしていく必要があります。必要に応じて地方支局の方に権限を与えることも大事な任務になります。また幹部社員不在のために代行者の選定も必要です。
ライフラインの確保
電力については長期の停電に耐えられるようにするための電力供給設備の強化さらに燃料の備蓄を行うなどの対策を行う必要があります。また電力会社の行う復旧作業に関しても震災直後の道路の渋滞を考えたうえでの作業員の確保や資材や燃料の確保などを行う必要があります。ここはさらに具体的な対策を練る必要のある分野ともいえます。
通信については携帯電話の復旧を優先的に考えていくことが大事になります。また商用回線で機能障害が起きた時でも利用できる中央防災無線機能や各省庁の通信面での通信網の耐震化なども図っていく必要があります。
インターネットの設備やデータ管理についてはサーバーのバックアップ機能の確保と共に機能障害が発生した場合のためにより現実的な確実性の高い保守契約を行う必要性があります。
上下水道については復旧作業中にも交通渋滞が起こっている可能性が高いです。そのような場合に備えて緊急車両の通行を第一に考えていきながらの作業も重要になります。災害を想定して関係機関の調整や作業員の確保さらに資材の搬送などについても具体的な手順を確認しておく必要があります。
庁舎の耐震性の確保や天井や什器の固定などの耐震化も行っていく必要があります。
情報収集・発信体制
国は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県・静岡県などの都市近郊の都道府県と緊密な連絡を行うことで迅速に情報を収集して行くことが重要です。その情報を迅速に関係機関で共有をしていくことが大事になります。これらをつないでいく情報システムや情報収集の共有を行っていく必要もあります。
ただ情報発信についてはバラバラにならないように一体となって情報を共有できるような仕組みを作ることが大事になります。
金融決済機能
経済の中心になっている日本銀行や各金融機関は金融システムの強化は比較的できています。今後もさらに強固な金融システムを構築していくことさらに業務を継続していけるような体制を取っていけるようにすることが大事になります。
また金融の中枢を担う機関同士での情報の共有やライフラインやインフラを構築していく事業者などの協力を得ていきながら実践的な災害の対策訓練を行っていく必要があります。
企業での備え
災害が起こった時には企業でも大きな影響を受けることになります。特に取引先との情報の共有や商品及びサービスの提供についてもしっかりと連絡を取っていくことが重要です。場合によっては休止や縮小も含めた検討も必要になります。
サプライチェーンに関しては生産性の確保も考えての製造ラインの複数の拠点化や複数での地域に分散をするなどして影響を軽微にしていくことも重要になります。さらに自家発電などの電力を確保していくことで業務への影響を少しでも小さくしていくことが重要になります。同時に被災のリスクを小さくしていくためのデータのバックアップや情報資産の保全などを行っていく必要があります。
非常用発電設備も常に満タン状態を確保できるような体制にしていくことも大事になってきます。また年に何度かは燃料のチェックや防災訓練などを行っておくことが大事になります。
交通機関のマヒが長期化することも考えられますのでメール・Skype・LINE・メッセンジャーなどを含めたインターネットでの連絡を取れるような体制を作ることも大事です。
企業としての最大の責務は従業員を守ることです。災害時には従業員との連絡を緊密に行って行くことが大事になります。また普段からの社員教育で防災への意識を高めていくことも重要です。
建築物の強化
建築物の被害は死者の最も多く出る要因になります。火災の延焼は被害を大きくします。そこからの避難や救助対策をどうするかも考えておく必要もあります。事前対策としては建築物の耐震化さらに木造住宅の多い地域や緊急輸送路などの耐震化に重点的に取り組んでいくことが重要になります。
また必要に応じて建物のメンテナンスを行っていくことで建物の劣化を防いでいくことも大事になります。防災だけでなく減災を行っていく必要も出てきます。家具などをしっかりと固定する・ブロック塀や窓ガラスの強化なども行っていくことで被害を小さくすることができます。
また避難所になりうる庁舎・学校・病院・公民館・駅・コミュニティセンターなどの公共施設の耐震化や天井崩落阻止対策などを行う必要があります。また災害物資の輸送アクセスの向上や荷役作業を行いやすい体制にしていくことも大事になります。
ライフラインについても被災者の安全を守るためにも耐震化や液状化対策なども行っておくことが大事になります。これらの対策をしておくことでライフラインの復旧が早まる可能性が高まりますので市民生活が早く正常に戻ることが期待されます。
通信においても関連事業者は人命にかかわるところの耐震化を行っておく必要があります。携帯電話においては非常用電源の確保や停電が長時間になっても通信手段を途絶させないなどの対策が必要になります。
道路・鉄道・港湾・空港などにおいても耐震化を行っていくことで復旧のメドが早くなりますのでしっかりとした対策を行うことが重要になります。
東京湾岸のゼロメートル地帯や山地を切り崩して造成した急傾斜地では高潮や土砂崩れなどが起きやすくなります。そのための堤防の設置や土砂を抑えるフェンスうや土留めなどを作っておくことも大事になります。
石油化学コンビナートなどでは地震からの火災で炎だけでなく二酸化炭素・一酸化炭素・二酸化硫黄などの有毒ガスなども排出されます。高圧設備を含めた耐震化を行っておくことが重要です。
火災対策
火災を抑え込むためにはまず火災を発生させないことが大事になります。地震対策にとって重要なことは都市ガスのマイコンメーターの設置と即時供給防止のシステムが整備されているところも多くなっていますのでガスからの出火をそれなりに抑え込める可能性は出てきました。ただ古い電気カーペットやこたつなどを使用している方も多くそこからの出火で火災が起こることも予想されます。
電気ストーブなどの電気火災や感電を防ぐ必要があります。電気ストーブなどが地震で転がってしまったところに停電が起こると電気が止まります。そこで電気が復旧すると再点火してどこかに燃え移って火災が起こることも考えられます。避難する際には絶対に電源のブレーカーを切って外に出ることが大事になります。
初期消火をできるようにするために火災報知器の設置も必須になります。初期消火を各家で行えることが大きな災害を防ぐためにも大事になってきます。広域の同時火災を防ぐ努力も必要になります。
さらに火災のための避難場所を確保しておくことが大事になります。地元の広めの緑地公園への避難経路や木造住宅を今後少なくしていく取り組みも重要になります。あとは電柱の倒壊などによる道路閉鎖などを行っていく必要もあります。
オリンピックに向けて
オリンピックまでに大規模な地震が起こってしまう可能性も考えられます。起こった時に最も被害を最小限にするためには火災対策といえます。中でも電気系統の火災が最も危険性が高くなります。そこに木造家屋が含むことでさらなる危険性が増します。まずはそのような住宅のための感震ブレーカーの設置が最優先になります。
オリンピックの関連施設においても耐震化や液状化などを意識した施設作りを行っていく必要があります。また多くの外国人観光客が来ることも予想されますので緊急地震速報の多言語化やホテルなどへの誘導。さらには英語などの外国語のできるスタッフのボランティア要員の確保なども重要になります。関連要員の情報の共有も大事になってきます。
まとめ
政治・経済・行政などの要人同士がしっかりと情報を共有して的確な指示を地域に出せるようにすること
企業は取引先・従業員などとの連絡をしっかりと取って人命を守ること・耐震施設の強化に努めること
木造家屋対策の耐震化を行うこと・今後は建設を減らすことも検討すべき
通信分野では携帯電話の普及を最優先。また出社できない方のためにインターネットのシステム面を強化する
ゼロメートル対策や台地などの浸水・土砂対策をしっかりと行う
オリンピック施設の耐震化及び外国人への適切な避難誘導をできるようにする
参考資料
首都直下地震の被害想定と対策について:file:///C:/Users/user/Downloads/Document-8%20(2).pdf